2032年計画 #7 何も出てこない。その結果にも意味がありました。
「判定できない」のではなく、「その物差しが存在しない町」がありました。
道具は、少しずつ賢くなってきました。
標高が分かる。
洪水のリスクが分かる。
次に挑んだのは、「都市計画区域」の判定です。
市街化区域。
市街化調整区域。
名前だけ聞くと難しそうです。
でも、この情報が分かれば、その土地に家を建てられる可能性が、もう少し見えてきます。
都市計画区域は、市区町村ごとに管理されていました。
標高やハザードとは少し勝手が違いました。
全国で一枚の地図になっているわけではありません。
市区町村ごとに、別々のデータとして公開されていました。
恵庭市なら恵庭市。
上川町なら上川町。
まず住所から市区町村名を取り出します。
次に、その町のデータを探します。
そして、緯度経度がどの区域に入るのかを判定します。
なみ子と一緒に、そんな仕組みを組み立てました。
最初は、順調でした。
まずは、勝手知ったる恵庭市。
結果は、「市街化区域」。
ちゃんと判定できました。
次は、山あいの町、上川町。
こちらも問題なく区分が返ってきました。
「よし、動いている。」
そう思った矢先でした。
由仁町だけ、何も出てきません。
念のため、もう一つ別の町でも試しました。
選んだのは、由仁町です。
住所を入力しました。
待ちました。
でも、何度確認しても、都市計画区域のデータが見つかりません。
またプログラムの不具合かと思いました。
なみ子に聞いてみると、返ってきた答えは意外でした。
「これは不具合ではないかもしれません。」
「この町には、都市計画区域そのものが指定されていない可能性があります。」
「何もない」という結果が、一番の発見でした。
一瞬、頭が真っ白になりました。
都市計画区域がない。
それは、都市計画法にもとづく規制が、そもそも存在しない地域かもしれない、
ということです。
これまで、
「接道義務がある。」
「市街化調整区域だから難しい。」
そんな話ばかり見てきました。
でも、その物差し自体が存在しない町もある。
その事実だけで、土地の見え方が変わりました。
安い土地には、もう一つ理由がありました。
これまで、安く売れ残る土地には理由がありました。
沼地。
急斜面。
狭い道路。
でも今回は、少し違いました。
都市計画区域という「都会の物差し」が、最初から置かれていない地域がある。
規制が少ないので自由にも見えます。
でも同時に、水道や道路などのインフラ整備も、前提になっていない可能性があります。
自由と不便。
この二つは、同じ場所にあるのかもしれません。
今日のなみ子
由仁町の結果を見ながら聞いてみました。
「これ、失敗だったの?」
なみ子は答えました。
「『判定できなかった』のではありません。」
「判定する物差し自体が、その町にはなかったという発見です。」
「道具は、分かることだけではありません。」
「何が定義されていないのかまで教えてくれるようになります。」
なるほど……。
「何もない」という結果にも、大きな意味がある。
そう思えた一日でした。
今週の前進
- 都市計画区域を判定する機能ができました。
- 恵庭市と上川町では、区域を正しく判定できました。
- 由仁町では、都市計画区域そのものが存在しない可能性に気づきました。
- これで、標高・洪水リスク・都市計画区域を、一つの道具で確認できるようになりました。
道具は、少しずつ賢くなっています。
でも、それ以上に変わっているのは、ぼく自身の見方なのかもしれません。
次は、「地目」に挑戦します。
田んぼなのか。
山林なのか。
宅地なのか。
土地には、まだまだ見えていない情報があります。
一つずつ物差しを増やしながら、その土地の姿を見抜けるようになりたいと思います。
2032年まで。
今日も、小さな波を一つ起こせました。